研究概要 |
1 GATA-2遺伝子座における造血系調節領域の解析 造血系調節領域の解剖として,様々な欠失変異を作成し、転写活性化が調節領域のどの部に局在しているかを検証した.転写活性化の指標となるリポーター遺伝子としてはGATA-2自身のプロモーター領域にGreen Fluorescent Protein(GFP)を結合したものを用いた.GFPの特性により、形質導入された細胞内のGFP発現量,すなわち,GATA-2調節領域の活性化強度が全く無染色で直接フローサイトメーターにより定量することが可能であった.第一段階として約1kbごとに5つの内部欠失変異を作成したところ,中心部のNco I-SPe I間の欠失により大きく活性が減衰することが示された.これとは逆にこのNco I-SPe Iのみを取り出し導入したものでは調節領域全長の持つ活性が保持されていることが認められ、この部に転写活性化の中心が存在していることを既に見出すことができた.この注目されるNco I-Spe I間は約1kbpであるが,末端から約200bpごと欠失した一連の構築を作成し、現在、其々につきp815細胞株に安定形質導入を行い、残存する活性化の程度を測定した. 2 造血幹細胞増幅用アデノウイルスベクターの構築 アデノウイルスベクターは,Microbix Biosystems社のAdMax^<TM>を選択した.初回暴露のみに感染性を限定するためにアデノウイルスのゲノムに欠失を加え,かつ2つのベクターに分割したベクターは従来より考案されてきたが,2ベクター間で起きなければならない組換えの効率が低いのが致命的な欠点として批判されてきた.AdMaxは,Cre-loxPシステムによる高効率の組換えを応用することでこの欠点を克服したものである.ベクター構築の第一段階としてシャトルプラスミドにGATA-2 cDNAを導入した.
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