研究課題
これまでの本研究で、白血病細胞の細胞傷害因子TRAILに対する耐性の原因として、TRAIL受容体のうちdeath domainを有するDR4およびDR5受容体の低発現が重要であることを明らかにした。そこで白血病細胞でのTEAIL耐性の克服を目指して、DR4およびDR5受容体の発現誘導を試みたが、これまで報告のあった抗白血病薬やHDAC阻害剤では、DR4およびDR5受容体の発現誘導は得られなかった。固形腫瘍を用いた解析で、蛋白の高次構造形成の障害などによる異常蛋白の小胞体での蓄積によって(いわゆる小胞体ストレス)、TRAIL受容体が誘導される可能性が最近報告された。そこで、小胞体ストレスを誘導するタプシガルギンやツニカマイシンの効果を解析したところ、Ph1陽性ALL細胞株で高率にDR4・DR5が誘導されることを確認した。さらにこれら小胞体ストレス誘導剤と併用することで、TRAILに対する感受性が高まることを確認した。小胞体ストレスにおいては、蓄積された異常蛋白からの回避を図るために、蛋白合成の抑制や蛋白分解の亢進が誘導される。白血病細胞での小胞体ストレス誘導剤によるDR4およびDR5の発現誘導に際しても、小胞体シャペロン蛋白の1つであるBiPが誘導された。しかし、固形腫瘍での小胞体ストレス誘導剤によるDR4およびDR5の発現誘導で中心的な役割を果たしていると報告されているCHOPの誘導は確認されず、別の分子の関与が示唆された。一方、小胞体ストレスにおいてはJNK経路の活性化が誘導されることも知られており、白血病細胞における小胞体ストレスによるTRAIL受容体の誘導へのJNKの関与について、現在JNK阻害剤を用いて検討中である。
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