研究概要 |
1)日本人Bloom症候群におけるcommonなBLM遺伝子変異の同定 Bloom症候群(BS)は小柄な体型、日光過敏性紅斑、免疫不全さらには高率に癌腫を合併する常染色体劣性の遺伝性疾患である。病因遺伝子BLMはhelicase活性を有し、DNAの複製・修復に関与すると考えられている。BSの診断はsister chromatid exchangeの増加が参考になるが、他の染色体脆弱症候群との境界例も存在し診断に苦慮する場合も少なくない。そこで、BSのBLM遺伝子変異について解析した。5症例のうち3症例が631delCAAのhomozygousであった。1症例が631delCAAと1610insAのcompound heterozygous、1症例が631delCAAと735delCAAのcompound heterozygousであった。631delCAAを簡便に検出する方法で日本人の健常人200allelleについて検討したが、631delCAAは存在しなかった。今回検討したBS症例10alleleのうち、8alleleが631delCAAであり、日本人に比較的共通した変異であると考えた(Kaneko et al.,Int J Mol Med 2004)。 2)IgA欠損症の分子病態 先天性の免疫不全症の一つであるIgA欠損症は、頻度は多いがその病因は不明である。われわれは、IgA欠損症においてクラススイッチに先立って発現するgerm-line transcriptの発現低下がその病態に重要であることを明らかにした(Asano T, Kaneko H.et al.,Clin Exp Immunol 2004)。 3)Dominant negative AIDにおけるsomatic hypermutation Dominant negative AID遺伝子変異によりHyper IgM immunodeficiencyになっている患者のIgM重鎖のsomatic hypermutationについて検討している。
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