ヒト造血幹細胞のソースとして、骨髄および臍帯血を用いた.CD34陽性細胞をビーズを用いて濃縮した後、ABCG2抗体で染色し、FACS Vantageを用いて、CD34陽性ABCG2陽性細胞と、CD34陽性ABCG2陰性細胞を分画分取した。移植マウスは、生後5週から8週齢のNOD-SCID β2-nullマウスを用いて、前処置として300cGyの放射線照射を施した。移植経路は、尾静脈注射と、大腿骨骨髄腔内輸注の2経路を用いた。移植細胞生着の解析は、移植後12週に行った。移植後マウスの骨髄、脾臓、末梢血を抗ヒトCD45抗体、CD19抗体、CD11抗体、CD14抗体、CD3抗体、Glycophorin A抗体で染色しFACS Vantageで解析した。臍帯血を経静脈的に移植したマウスでは、ヒト細胞は3〜10%の生着が確認されたのに対し、骨髄腔内移植を行った場合有意に高い40〜60%の生着が確認され、T cellを除くすべての系統の細胞の生着が確認できた。ヒト骨髄細胞の移植では、経静脈的移植では0〜0.5%、骨髄腔内移植では0.24%の生着が見られ、骨髄腔内移植の方が若干効率よく生着しているようであったが、優位差は認められなかった。ABCG2に関しては、陽性細胞、陰性細胞いずれも生着が認められ、両群間に差は認められなかった。以上より、臍帯血移植に関しては骨髄腔内輸注の優位性が確認された。今後、骨髄幹細胞と臍帯血幹細胞表面の接着因子を用いた分画で、移植実験を行い、何故ソースの違いによる生着率の差が生じるのか明らかにして行く予定である。
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