研究概要 |
(1)Granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)による樹状細胞の末梢血中への動員と樹状細胞サブセット 高容量のG-CSFを投与し末梢血幹細胞動員する際には、末梢血中に造血幹細胞だけでなく、免疫担当細胞などが動員されてくる。移植片中にあるこのような細胞が移植片対宿主反応病などの移植経過に影響を与えている可能性がある。今回、われわれはG-CSF投与により末梢血中に動員されてくる樹状細胞について解析した。すなわち、G-CSF投与前から投与5日目までの血液中の樹状細胞(lineage(-)HLA-DR(+)CD11c陽性細胞:DC1,lineage(-)HLA-DR(+)CD123(+):DC2)の動態を健常人ドナーと癌患者各々10名について検討した。総樹状細胞は幹細胞と同期してG-CSF投与開始後4日目にピークとなることが判明し、DC1およびDC2もおおむね同様のkineticsを示したが、DC1はG-CSF投与前の約3倍の増幅であったが、DC2は約10倍に増加していた。健常人と癌患者を比較するとDC1細胞については両群で差はなかったが、DC2は健常人で有意に多く動員されていた。このことから、G-CSFはDC2優位に樹状細胞を動員していると思われた。癌患者ではDC2動員が悪く健常人との免疫応答の違いが示唆された。 (2)末梢血中樹状細胞サブセットの機能解析 ついでフェレーシス産物からDC1細胞およびDC2細胞を分離し、その機能について解析した。デキストランを用いた貪食能の検査では両細胞ともに著明な貪食能を呈した。また、自己のあるいは同種のnaive T細胞との共培養による抗原提示能を調べたところ、DC1、DC2ともにまだ十分に抗原をT細胞に提示する機能は認められなかった。
|