高IgE症候群患者8名、健常者15名、および疾患コントロールとしてアトピー性皮膚炎患者17名の末梢血検体からmRNA及びcDNAを抽出した。我々がこれまで高IgE症候群で特異的な発現をしていると考えている遺伝子の中から、特に特異的と考えられる3遺伝子を選び、これらの患者や健常者間で、どの遺伝子が最も高IgE症候群に特異的な結果が得られるかを定量的PCRで検討した。この中で、RGC32遺伝子は、末梢血単球における解析にて健常者やアトピー性皮膚炎患者と比較して、高IgE症候群患者で最も高値であった遺伝子であったが、迅速診断を目的とすることから、細胞処理を簡素化するために末梢血単核球における発現を検討した。予想されたように、末梢血単核球におけるRGC32遺伝子の発現は、高IgE症候群で有意に高値であった。 次に、高IgE症候群患者のマイクロアレイの結果の解析をさらに詳細に行った。高IgE症候群の患者末梢血CD4陽性細胞やCD14陽性細胞における遺伝子発現の特徴を、Gene Ontologyに従って、遺伝子群での解析を行った。CD4陽性細胞では、高IgE症候群において特異的に高い発現を示した遺伝子群は認められなかった。CD14陽性細胞ではLysosome関連遺伝子群とCell growth and maintenance関連遺伝子群がコントロールと比較して有意に発現が高かった。末梢血単核球をブドウ球菌で刺激した場合、免疫グロブリン関連遺伝子の発現が高IgE症候群患者で有意に発現が高かった。これらの結果を、さらに詳細に検討し、高IgE症候群の責任遺伝子の同定に向けた基礎データとし、来年度の研究へ発展させる方針である。
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