研究概要 |
Duchenne型筋ジストロフィーのモデルマウスであるmdxマウスにゲンタマイシン(GM)を投与したところ、ほぼ正常なジストロフィン(dy)が発現する。GMが、mdxマウスが持つdy遺伝子内の終止コドンを翻訳段階で読み飛ばし、ほぼ主常なdyを発現させたためである。GMの副作用を軽減するため、ハイブリット型リポソーム(Lip)をもちいて骨格筋へ効率よくGMを運ぶDDS(Drug Delivery System)を開発する。 方法:マウスは8〜12週齢のmdxマウスを使用した。GMの34mg/kgを1倍量とし決め、その濃度の何倍かで投与量を設定した。ゲンタマイシンの封入率が100%であるハイブリット型リポソーム(GM-Lip)とGM、Lipを、それぞれ1、5、10倍量を14日間連日、腹腔内投与に投与した。投与2週間後、ABR(聴性脳幹反応)、Cre値、CK値、dy陽性線維の出現率を測定した。 結果:1,GMの副作用;a)聴毒性:GM-LipではABRにおいて聴毒性は認めなかった。10倍量のGMでは65dBにおいてV波は確認できず、聴毒性を示した。b)腎毒性:すべてのマウスについてCreの上昇は認めなかった。2,筋崩壊の検討;CK値はGM-Lip(1倍;685.3、5倍;758,5、10倍;601IU/l(n=1))GM(1倍;1521,3、10倍;1236,6IU/l)、Lip(1倍;2114,3、5倍;2145,0IU/l)とGM-Lipがもっとも低値を示した。 dy陽性線維の出現する割合GM-Lip(1倍;3,87、5倍;5,57、10倍;7,73%)、GM(1倍;3,23、10倍;4,62%)、Lip(1倍;2,44、5倍;1,73%)とGM-Lipを使用した場合が一番高く、次にGMのみが高値を示した 考察:GM-Lipを使用することにより聴毒性が軽減でき、治療法の有効性の示唆した。
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