研究概要 |
野生株MVi/Tokyo/99-Y【Chicago-type D3】は39℃でもうよく増殖する株であった。麻疹ワクチン株AIK-C株は39℃ではまったく増殖しない株で、その親株のEdmonston株は39℃ではその増殖が1/10以下に低下する。これら3株の間のN, P蛋白発現プラスミドを構築し、各株を用いてキメラ蛋白発現プラスミドを作成した。L蛋白発現プラスミドはAIK-C株より作成した。 麻疹ウイルスの転写・複製活性を調べるために、麻疹ウイルスAIK-C株のleader, trailer sequenceの間の翻訳領域をluciferase reporter遺伝子に置換した麻疹ウイルスmini-genomeを作成したN, P, L発現プラスミドを作成し、mini-genomeと共にB95a細胞にco-transfectionしT7RNA polymeraseの存在下で33℃、39℃で培養し、細胞内のluciferase活性を測定する事で麻疹ウイルスの転写・複製活性を検討した。 99-Y, AIK-C, Edmonston株からN, P発現プラスミドを作成し異なる組み合わせでmini-genome assayを行った。AIK-Cワクチン株の組み合わせではLuciferase活性は32℃培養時のみ検出され37.5,39℃では活性が全くなかった。Edmonston,99-Y由来のP蛋白発現プラスミドを用いると39℃でもluciferase活性は検出され、99-Yに由来するN, P蛋白発現プラスミドの組み合わせでは最も高い活性を示した、39℃で増殖する99-Yと39℃で増殖しない麻疹ワクチンAIK-C株を用いてキメラプラスミドを作成しMini-genome assayを行い、39℃の増殖性は野生株P蛋白が担っており、P蛋白のNobinding domainからcoiled coil regionがN蛋白N coredomainと結合し、さらにgenotype間の結合特異性はN蛋白N tailとP蛋白X domainで近縁遺伝子タイプのN-P蛋白とのinteractionが特異的に制御されていることが明らかとなった。
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