研究概要 |
39℃でもよく増殖する野生株MVi/Tokyo/99-Y【D3】と39℃では全く増殖しない麻疹ワクチン株AIK-C株、その親株のEdmonston株からN, P, L発現プラスミドを構築し、麻疹ウイルス翻訳領域をLuciferase遺伝子に置換した麻疹ウイルスMini-genomeを作製し麻疹ウイルスの転写複製活性をLuciferase活性で測定するMini-qenome assay系を確立した。99-Y株に由来するN, P蛋白発現プラスミドの組み合わせでは最も高い活性を示した。39℃で増殖する99-Yと39℃で増殖しない麻疹ワクチン株AIK-C株を用いてキメラプラスミドを作成しMini-genome assayを行い、39℃の増殖性は野生株99-Y株のP蛋白が担っており、99-Y株とEdmonston株のキメラP蛋白発現プラスミドを作製し99-Y株の39℃の増殖にはNo binding domainからcoiled coil reqionが重要でN蛋白N core domainと結合し、さらにgenotype間の結合特異性はN蛋白N tailとP蛋白X domainで近縁遺伝子タイプのN-P蛋白とのinteractionが特異的に制御されていることが明らかとなった。本年度は、N-P-L蛋白のinteractionに関わるP蛋白の結合領域を明らかとするために野生株、AIK-C株の1-60AA(No binding domain),1-304AA(Coiled coilの前),1-376AA(Coiled coilを含めたX-domainの前),305-376AA(Coiled coil),432-508AA(X domain)を発現するP蛋白断片を発現するプラスミドを構築しMini-genome assayに対するcompetition assayを行った。1-376AA(Coiled coilを含めたX-domainの前)を発現するプラスミドをco-transfectionしたときのみLuciferaseに競合抑制効果を認め、他のP蛋白断片では抑制効果は認めなかった。 P蛋白断片(1-376AA)をcompetitonとして99-YのMini-genome assayを39℃で競合実験を行うとAIK-C由来のP蛋白断片は競合抑制がなく、99-Y由来のP蛋白断片抑制効果が認められた。以上の結果から、最近流行株の高温での増殖能はP蛋白の変異にその要因が有りNo bindinqからCoiled-coil領域までが結合に関与していることが明らかとなった。
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