研究課題/領域番号 |
16591054
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
|
研究分担者 |
荒井 康裕 順天堂大学, 医学部, 助教 (10420861)
田中 恭子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70348928)
|
キーワード | 低出生体重児 / スフィンゴミエリン / 発達評価 / 視覚誘発電位 / ドコサヘキサエン酸 / 母乳 |
研究概要 |
【背景】リン脂質であるスフィンゴミエリン(SM)は髄鞘形成促進作用を有し、母乳中にも豊富に含まれている。他方、生後早期の栄養が後の発達に重要な影響を及ぼすことが知られている。また極低出生体重児(VLBW)児において、SMの経口摂取が児の精神運動発達にどのような役割を演じているかは不明である。【目的】生後早期のSM強化乳の哺乳により、VLBW児の精神運動発達がどのような影響を受けるかを検討することを目的に本研究を行った。【方法】18例のVLBW児(平均在胎週数30.3週、平均出生体重1107g)をSM強化乳哺乳群9例と、対照群9例に分け、生直後、生後2、4、6、8週に血漿リン脂質および赤血球.脂肪酸組成分析を行った。また発達評価として修正3および6カ月にFagan試験(視覚再認記憶)と視覚誘発電位(VEP)検査を施行し、さらにBayley発達検査(精神発達、運動発達、行動情緒発達)を修正6カ月で行った。哺乳は母乳を優先し、不足分をSM強化乳(総リン脂質中SM20%)または対照乳(SM13%)で補充した。【結果】両群間で合併症の有無、体重増加率、母乳哺乳率、およびドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸(AA)の赤血球膜脂肪酸分析の結果には有意差は認めなかった。他方SM強化乳群では、生後4週と6週の血漿SM濃度が対照群に比し有意に(p<0.01)高値を示した。また修正6カ月時のBayley検査による行動情緒評価およびFagan試験においてSM強化乳群で対照群に比し有意に(p<0.05)高値を示した。さらにVEP検査では、SM強化乳群のみで修正6カ月において3カ月に比し有意(p<0.05)な潜時の短縮を認めた。【考察】SM強化乳の投与は、SM濃度の上昇による髄鞘形成促進を介し、VLBW児の精神運動発達の向上に関与している可能性が示唆された。
|