研究概要 |
Microbacterium intracellulareを10%小川培地にて純粋培養であることを確認した後、液体培養液(middle brock 7H9 Broth:DIFCO)を用い、菌体の復元を行った。菌体は4%SDS(sodium dodecyl sulfate)処理、Rnase処理、Dnase処理、Trypsin処理を行い、最終的に超音波処理を施行し、細胞成分及び細胞壁成分を全て含む浮遊液を40000g、4℃、1時間で遠心分離した後、1mg/mlにPBSを用いて調整し、マウス腹腔内投与用とした。実験動物として3週齢の雌マウス(C57BL/6J)を使用した。まずBCG菌(日本BCG)を生理食塩水で溶解、うち0.05ml(0.4mg)を左側腹部へ皮内注射する。投与4日後結節性変化を確認し、投与4週後ツベルクリン活性物質を用いてツベルクリン反応(発赤、結節、血管増生)をもって免疫獲得を確認した。BCGによる免疫を獲得したマウスに対し非定型抗酸菌の細胞壁成分を腹腔内注射(0.5mg/PBS500μ l)しB+I+群とする。同時に2つの対照群を作製する.1つはBCGの代わりに生理食塩水を接種し、同様に4週後非定型抗酸菌の細胞壁成分を腹腔内注射(0.5mg/PBS500μ l),連続4日間施行し,B-I+群とする。もう1つはBCG接種後、4週目に生理食塩水を腹腔内投与,連続4日間したものをB+I-群とする.腹腔内注射後は組織摘出まで連日直腸温の測定を行った。非定型抗酸菌(Mycobacterium intracellulare)壁成分投与10日後にマウス尾静脈から採血を行いIL-6,10,12p70,MCP-1,IFN-γ,TNF-αの血清サイトカイン値6種類を測定した。結果血清サイトカイン値はB-I+群に比較し,B+I-群及びB+I+群は有意に高値を呈したが,B+I-群及びB+I+群の間には有意な差はなかった。採血終了後マウスをエーテル麻酔下で屠殺し、心臓を素早く取り出し、O.C.T.compoundで包埋し、-30℃で保存する.また同時にBCG接種部位を含む皮膚組織・肝臓・腎臓・リンパ節・眼球を同様に保存した。クライオスタット(現有設備)を用い、凍結試料を7μm幅の連続切片にて上行大動脈方向から作製し、HE染色にて冠動脈の観察を行い、血管炎評価、冠動脈拡張の評価を行った。結果はB+I+群のみ中型冠動脈の外膜周囲に,軽度白血球(好中球)の浸潤を確認し,血管炎初期と判断した。
|