研究課題/領域番号 |
16591063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
宇理須 厚雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20193972)
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研究分担者 |
柘植 郁哉 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (00231431)
近藤 康人 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (30301641)
各務 美智子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | 鶏卵アレルギー / 経口免疫寛容 / 加熱脱オボムコイド卵白 / CISH / DNA microarray / 経口免疫療法 / Real-time PCR |
研究概要 |
我々は、低アレルゲン化された加熱脱オボムコイド卵白クッキーを用いた経口免疫療法を試み、約50%の症例で卵白経口負荷試験の陰性化を認めている。本研究では、病態の把握、治療反応性の予知に有用なマーカー遺伝子を探索し、さらに、いまだ不明な点の多い経口免疫療法の機序を明らかにして、より有効で、個々の患者の病態、素因に即した治療法を開発する目的で卵白アレルギーの発症、寛解に関与する遺伝子の網羅的な検討をDNAマイクロアレイで行った。 マイクロアレイによる解析から、卵白抗原刺激後に鶏卵アレルギー児で増加し、非アレルギー対照で変化しない43遺伝子を選択した。これらの遺伝子の発現をReal-time PCRにて検証したところ、cytokine inducible SH2-containing protein (CISH)など3遺伝子が抗原刺激後の有意な増加(p<0.01)を示した。このうちCISHの反応は、抗原刺激後に鶏卵アレルギー児で非アレルギー対照に比べ、有意な増加(p<0.01)を示した。Flow-cytometryを用いて、CISHの蛋白レベルでの発現を鶏卵アレルギー児と非鶏卵アレルギー児で比較したところ、CD4陽性細胞中のCD25陽性・ClSH陽性細胞は鶏卵白抗原刺激後に、非鶏卵アレルギー児と比較し鶏卵アレルギー児において有意に発現が増加していた。 CISHはsuppressor of cytokine signaling protein familyに属し、STAT5を介したサイトカインシグナル伝達の負の調節因子として働いている。今後、Th1、Th2、TregなどT細胞亜群におけるCISHの動態を解析し、鶏卵アレルギーの病態形成に果たすCISHの役割について検討する必要がある。こうした知見が、食物アレルギーの病態の理解に役立つと共に、CISHが新たな診断のマーカーとして臨床応用しうると期待される。
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