研究課題/領域番号 |
16591065
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10126534)
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研究分担者 |
綾部 信彦 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50299103)
前 寛 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50309457)
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キーワード | 片側尿管結紮 / アンギオテンシン変換酵素阻害 / 尿細管・間質の線維化 / Hepatocyte growth factor(HGF) / Fatty acid binding Protein(FABP |
研究概要 |
目的: ヒトの近位尿細管に発現し、細胞内の脂肪酸代謝に関与する尿中肝臓型脂肪酸結合蛋白(以下U-FABP)の測定を小児慢性腎疾患で測定し、その臨床的有用性について検討した。とくに、進行性の腎疾患ではU-FABPが高値であること予想されるため、ネフローゼ症候群の中でステロイド反応性ネフローゼ症候群(SSNS)と巣状糸球体硬化症(FSGS)の鑑別が可能かどうかも検討した。 対象と方法: 慢性腎疾患患者74名(男性38名、女性36名)で、のべ尿140検体(10.4歳±5.4歳)でU-FABPを測定し検討した。対象疾患は、ステロイド反応性ネフローゼ症候群(SSNS)、巣状糸球体硬化症(FSGS)、IgA腎症、紫斑病性腎炎(HSPN)、移植腎などである。 結果: 1.尿蛋白量(U-prot)とU-FABPと間の相関:U-prot/creが1以上の58検体で検討した。結果はr=0.171816で相関はなかった。 2.次に各疾患でU-FABP/creの比較を行った。SSNSは平均54.98、FSGSは平均606.53、IgA腎症は平均19.58、HSPNは平均29.51、移植腎は平均146.15であった。Kruskal-wallis検定scheffeの方法で有意差の検定を行ったところ、SSNSとFSGSでp<0.05、FSGSとIgA腎症でp<0.01で有意差を認めたが、その他の疾患での比較では有意差はなかった。この中でSSNSとFSGSとの鑑別において、MCNSと診断する場合のカットオフ値を100とすると、100以下では陽性率は78.7%であった。 考察: U-FABPはネフローゼ症候群における巣状糸球体硬化症の鑑別に有用と考えられた。
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