研究課題/領域番号 |
16591066
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
石井 正浩 北里大学, 医学部, 教授 (90222950)
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研究分担者 |
家村 素史 久留米大学, 医学部, 助手
牟田 広実 久留米大学, 医学部, 助手 (40343694)
菅原 洋子 久留米大学, 医学部, 助手 (40309787)
江上 公康 久留米大学, 医学部, 助手 (20373136)
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キーワード | 川崎病 / 冠状動脈瘤 / 薬物負荷 / 血管内皮機 / RNA / ビタミンC / 遺伝子 / 分子遺伝学 |
研究概要 |
(1)川崎病血管炎の長期予後の解明と動脈硬化進展抑制 川崎病は全身中小動脈の血管炎を主体とする乳幼児の熱性・発疹性疾患である。また、遠隔期に成人動脈硬化症へ進展することが危惧されている。我々は、この31年間に2031例の川崎病を経験し、血管造影や薬物負荷を導入して川崎病の血管病変が遠隔期に血管内皮機能低下を呈していて、動脈硬化病変へ進展していることを証明した(JACC1998,Heart 2000,Circulation,2002)。抗酸化作用を有するビタミンCは血管内皮機能低下を抑制することが知られている。遠隔期川崎病18例に対してビタミンCが、血管内皮機能に与える効果を検討し動脈硬化病変への進展抑制効果があることを証明した。 (2)分子遺伝学的基盤による病因の究明 川崎病の現時点での最も大きな問題点は、未だその成因が不明であるということである。川崎病は、全世界で発症していることからその病因は、特異的なものではなく、コモンな物であることが考えられる。それらの、病因物質がある特定の分子遺伝的基盤を有する個体に対して川崎病を発症させると考えた。以上のことより、川崎病児の遺伝分子学的基盤の解析を行った。Affymetrix社のGene chipシステムを用いて遠隔期川崎病既往児の遺伝子発現を検討した。対象は冠状動脈病変を合併した川崎病既往児8例、冠状動脈病変非合併の川崎病既往児8例、および対照群10例とした。末梢血単核球より得られたRNAサンプルを用いて遺伝子発現プロファイルを解析した。遺伝子発現の差異は1.5倍以上を有意とした。Human gremline IgD chain geneとH.sapoens mRNA for Tcell lerkemia/lymphoma 1が有意差をもって冠状動脈病変を合併した川崎病既往児に多く発現した。Homo sapiens mRNA for KIAA0752 proteinも有意差をもって冠状動脈病変を合併した川崎病既往児に多く発現した。Human MHC class II HLA-DR7とHuman MHC class II HLA-DRw53は有意差を持って対照群に比し、川崎病既往児で多く発現した。川崎病の病態、冠状動脈瘤発生において遺伝的な要因が関与している可能性が示唆された。これらの結果は、第8回国際川崎病シンポジウムで発表した。
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