研究概要 |
ヒト先天性心疾患患者、特に総動脈幹遺残、完全大血管転移、心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖、感動静脈瘻、BWG症候群などの心臓冠動脈の起始・走行異常は、その治療に重要なウェートを占める。さらに最近の知見より、初期胚の静脈洞付近に形成される横中隔間葉組織(proepicardial organ,以下PEOと呼ぶ)由来の細胞が、心外膜の他に冠血管の平滑筋細胞と内皮細胞、血管周囲と心筋内の線維芽細胞、房室弁の一部間葉細胞を生じることが明らかになっている。そこで我々は冠血管の発生に注目し心臓神経堤、PEO、アポトーシスと、大動脈と冠動脈の選択的最終接続の機構についての検討をおこなった。 今年度はMannerの方法によりPEO移植ウズラーニワトリキメラ胚を作製し、各発達段階でのウズラPEO由来細胞の細胞分布図を作製した。フ卵5日目は心外膜形成と心外膜下での上皮間葉転換が認められた。フ卵6日目にウズラPEO由来細胞は心筋層内にもぐりこむことが明らかとなり、フ卵8日目には心内膜に達し心内膜形成に関与していることが明らかとなった。フ卵9日目にウズラPEO由来細胞が大動脈での冠動脈開口部に位置していることがわかった。このこ実験より心内膜は心臓原基のLateral plate mesoderm由来の細胞とPEO由来の細胞から形成されていることが明らかとなった。さらにフ卵9日目にPEO由来細胞が冠動脈開口部に位置していることが明らかとなった。
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