研究課題/領域番号 |
16591076
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
西田 智子 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 助手 (00243759)
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研究分担者 |
日下 隆 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
河田 興 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 助手 (40284369)
岡田 仁 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 助手 (30253272)
大久保 賢介 国立大学法人香川大学, 医学部, 助手 (80335851)
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キーワード | 言語発達 / 多チャンネル近赤外分光測定装置(MNIRS) / 脳機能 |
研究概要 |
(目的)新生児から乳児期おける大脳言語、連合野の発達的変化を捉え、言語発達障害児への介入時期やその方法の確立などの評価を行うことは重要である。特にNICU入院児における脳機能の評価として、多チャンネル近赤外分光測定装置(MNIRS)は、ベットサイドで利用可能である事からその応用が期待される。今回は、早産児と正期産新生児における言語刺激に対する言語野を含む大脳側頭葉の反応を測定し、その比較検討をしたので報告する。 (対象及び方法)早産児は在胎31-34週出生の4例で修正週数が38-41週に、正期産新生児は6例で日令1-10に測定を行った。フラット型12chのプローブ(投光受光間距離2cm)を児の両側の各々側頭部に計24ch固定し、MNIRS(日立メディコ社製)を使用して、児はコットにて仰臥位で静睡眠下に測定を行った。言語刺激として日本女性の音声での童話「桃太郎」を15秒聞かせ30秒休止するタスクを10回以上行った。解析は体動の少ないタスクを最低5回以上加算平均して、oxyHb,deocyHbとtotalHbの初期値からの変化を算出した。左右優位半球の検討として、各半球のchを前部7chと後部7chに分け、前部と後部に含まれる各chのoxyHbの最高値の平均を左右で比較した。測定は両親に書面での承諾を得て行った。 (結果及び考察)正期産新生児と早産児の全例で、言語刺激により両側側頭部でのoxyHbとtotalHbの増加を認めた。早産児の全例で側頭部前部と後部でのoxyHb増加は、どちらも右側が大きく増加した。正期産新生児では側頭部前部でのoxyHb増加は5例の左側、後部では3例の左側が大きく増加した。言語野が左側頭部に存在することを考慮すると、正期産新生児ではその優位性は認めなかった。今回の研究により、生後早期における言語刺激による両側大脳半球で血流増加を明らかにできた。また刺激による早産児全例における側頭部右側優位のoxyHb増加は、子宮内環境と違った保育器内で生育したことによる、脳機能への影響を示唆する。今後さらに症例を増し検討する必要がある。
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