研究概要 |
DSCAM:新生仔ブタ動脈管cDNAライブラリーからDSCAM遺伝子を得るためにスクリーニングを繰り返したが,ここから遺伝子をつり出すことができなかった.そこで,人のDSCAM遺伝子をもとに動物種族間で保存性の高い領域からプライマーを作成し,ブタの大脳のRT産物をテンプレートにPCRを行ったところ,DSCAM遺伝子が検出された.この塩基配列をもとに,さらに新生仔ブタ動脈管を調べたが,やはりこの時期の標本からは目的の遺伝子を得ることができなかった.そこで,ラットとウサギを用いて胎生の早い時期(ラット:胎生19,21/21日令,ウサギ:胎生14,21/30日令)の大脳,心臓あるいは胸部組織(心臓,肺,大血管を含む)を用い,RT-PCRを行ったところ,DSCAM遺伝子が発現していることが確認された.現在,ここから得られたDSCAM遺伝子のクローニングを行っている. Kチャネル:新生仔ブタ大動脈cDNAライブラリーからKv2.2を,同動脈管ライブラリーからKv9.3を,またHomology-based PCR法およびrapid amplification of cDNA ends (RACE)法を用いて5'側に3つのバリアントをもつKvβ1転写物(Kvβ1.2,Kvβ1.3,Kvβ1.x)をクローニングし,それぞれ全塩基配列を決定した.新生仔動脈管・大動脈・肺動脈・臍帯動静脈におけるこれらKv遺伝子の発現を検討したところ,Kv2.2の発現はごく低く,Kv9.3は3^<rd>/4^<th>肺動脈枝および臍帯動静脈で高い発現を示した.また3種のKvβ1転写物の中では,Kvβ1.2が血管に特異的であり,特に動脈管および大動脈に高い発現を示した.Kvβ1.2はKv1メンバーのK電流の不活化に寄与することが知られており,現在ブタKv1.2およびKv1.5をクローニングし,Kvβ1.2との相互作用に関する研究を進めている.
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