研究課題
新生児仮死と、それに引き続いておこる低酸素性虚血性脳症(hypoxic ischemic encephalopathy)のin vitro modelとして採用した、NGF分化PC-12 cellに対する鉄-アスコルビン酸(以下Fe-AA)負荷の系において、apoptosisの誘導は30-32℃の低温下ではほぼcontrol levelにまで著明に抑制されたが、34℃ではあまり効果はなく、さらに28℃まで下げるとむしろ37℃の場合よりも細胞死は促進された。37℃でFe-AA負荷を開始した後、6時間までに低温(32℃)にswitchすればapoptosisは十分抑制されたが、6時間以上あとではもはや低温の効果は見られなかった。さらに、負荷開始直後より低温環境に置いた場合、30時間以上の低温を続けると低温解除後も細胞死の増加を完全に抑制できることが分かった。以上より、実際に仮死出生の新生児に脳低温療法を行う場合、(1)温度は32℃が必要であること、(2)出生後6時間以内に低温療法を始める必要があること、(3)低温療法は30時間以上続けるべきであること、が明らかとなった。この結果は、実際の臨床の場での状況に即している。また、仮死後の脳障害のmechanismの一つとして広く認識されているglutamate excitotoxicityに関しては、PC 12 cellに関する限り、低温の効果は見られなかった。以上より、低温療法のmechanismの一つにFe-AAによるラジカル傷害の抑制が関与している可能性が示唆された。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Free Radical Biology and Medicine 38
ページ: 1057-1072
Archives of Disease in Childhood Fetal Neonatal Edition (In press)