研究概要 |
BALB/cマウスの皮膚を用いて、I-A抗原に対する抗体を利用したpanning法によって、90%を越える高い純度のランゲルハンス細胞(LC)を単離し、そのサスペンジョンを作成した。LCをアゴニスティックな抗CD40抗体およびIFN-γのもとで48時間刺激するとIL-12p40産生が亢進したが、10-10000U/mlのIFN-αあるいはIFN-βを加えると、その濃度依存性に、特に高濃度でその産生が抑制された。IL-12依存性の細胞株2D6細胞の増殖からIL-12の生理活性を測定したところ、I型IFNによるIL-12の抑制はIL-12p70のレベルで認められることが示された。さらに、炎症性サイトカインであるIL-6産生もIFNの濃度依存性に抑制された。LCの生存率は、IFNを加えることでは影響されなかった。次に、他のサイトカインやケモカインの産生に及ぼす影響を調べたところ、サイトカインでは、TNF-αの産生は抑制されたが、IL-1βとIL-10は不変であった。ケモカインでは、CCL-17とCCL-22は産生が抑制されたが、その一方で、炎症性ケモカインに分類されるCCL-3,CCL-4,CCL-5,CXCL-10,CXCL11の産生が亢進し、CXCL9は不変であった。以上より、I型IFNは、LCのサイトカインあるいはケモカインの産生を修飾するが、その図式が単純なものではなく、さらに、LC以外の樹状細胞とも異なっていることが示唆された。
|