研究課題
Type I IFNが関わることが示唆されるヒトの皮膚疾患の中で、とりわけエリテマトーデスや乾癬における樹状細胞の動態をみることは意義深い。今回、尋常性乾癬患者で、皮疹局面内、局面辺縁部、および健常部から、それぞれパンチ生検を施行し、免疫染色を行った。その結果、CD1a陽性かつlangerin陽性のランゲルハンス細胞は、とくい、乾癬の初期病変を示すとされる局面辺縁部の表皮内でその数が増えており、HLA-DR、CD83、CD80、CD86陽性で、活性化していることが示された。また、表皮真皮境界部にも、CD11c陽性、CD83陽性、CD1a陰性、langerin陰性の真皮樹状細胞が、とくに局面辺縁部で増数していた。この辺縁部では、CD3陽性のT細胞がほとんど浸潤していないにもかかわらず、表皮ケラチノサイトがkeratin6,13陽性で活性化しており、これらの樹状細胞が、T細胞を介さずに直接表皮ケラチノサイトを刺激していると考えられた。しかしながら、Type I IFNを産生する、BDCA2陽性の形質細胞様樹状細胞は、予想に反して少数しか見出されなかった。以上から、乾癬の病像形成に果たす、ランゲルハンス細胞および真皮樹状細胞の役割が示唆されたが、とくに真皮樹状細胞の活性化を導くType I IFNの役割までははっきりさせることができず、今後の課題となった。なお、今年度は本研究の最終年度であったため、ランゲルハンス細胞が皮膚に特有の樹状細胞として、Type I IFNへの反応性を含めて、その他の樹状細胞と異なる性格を有することを強調し、世界皮膚科学会で報告した。また、こうした成果を、皮膚科レビュー誌であるExpert Review of Dermatology誌に執筆した。
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Expert Review of Dermatology 3(in press)
Journal of Investigative Dermatology 127
ページ: 1915-1922