研究課題
基盤研究(C)
Type I IFNは、骨髄樹状細胞(DC)の成熟を促進し、共刺激分子の発現やIL-6産生を亢進する。これをランゲルハンス細胞(LC)で検証するため、BALB/cマウスの皮膚から、panning法で高純度のLCを単離した。Type I IFNは、共刺激分子CD40、CD80やCD86の発現を抑え、CCL21に対する遊走や、異型T細胞との共培養によるMLR反応を抑制した。即ち、脾臓DCとは逆に、Type I IFNはLCの成熟や抗原提示細胞としての機能を負に制御した。さらに、Type I IFNはLCのIL-6やIL-12p40産生を濃度依存性に抑制し、IL-12p70のレベルでも抑制した。他のサイトカインやケモカイン産生への修飾様式は複雑で、脾臓DCとも異なっていた。次に、Type I IFNが病態に関わることが示唆される尋常性乾癬の患者で、皮疹局面内、局面辺縁部、および健常部から、それぞれパンチ生検を施行し、LC/DCの免疫染色を行った。LCは、乾癬の初期病変を示す局面辺縁部の表皮内でその数が増え、活性化していた。また、表皮真皮境界部にも、真皮DCが、とくに局面辺縁部で増数していた。T細胞がほとんど浸潤していないため、これらのLC/DCが、T細胞を介さずに直接表皮ケラチノサイトを刺激すると考えられた。しかしながら、Type I IFNを産生するBDCA2陽性の形質細胞様DCは、少数しか見出されなかった。以上、LCおよび真皮DCが乾癬の病像形成に果たす役割が示唆されたが、真皮DCの活性化を導くType I IFNの役割は今後の課題となった。最後に、乾癬ではビタミンD3外用剤が有効であるため、単離したマウスLCのビタミンD3に対する反応を調べたところ、Type I IFNと同様の活性制御を示す一方で、LCのIL-6およびIL-12p40は促進させ、IL-10の産生を抑制した。乾癬はTh1優位の疾患であり、先の結果と合わせて、乾癬の発症にType I IFNが関わることや、ビタミンD3が治療に有効であることをいずれも合理的に説明できない。これらの結果は、乾癬の病態に、LCよりもむしろ真皮DCが重要であることを示唆する。
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