研究概要 |
われわれは、NK/T細胞増殖性皮膚疾患で蚊刺過敏症の既往のある慢性活動性EBウイルス感染症患者の臨床症状および病理組織学的検討を行っており、現在、症例を蓄積している。一方で、患者末梢血からNK/T細胞のポリクローンおよびクローン細胞株を樹立しているが、これらの細胞株は、BamH1制限酵素をもちいたサザンブロット法によりEBV感染細胞のモノクローナルな増殖が認められるCD3陽性、CD56陽性細胞株であることを確認した。樹立した細胞株は、EBNA-1とLMPを発現しているが,その他のウイルス抗原の発現は制限されたLatency II型で、in vitroにおいて長期間増殖を続ける。しかし、Asialo-GM1投与にて前処理を行いマウスNK細胞を除去したNOD-SCIDマウスに、1x10^7個の腫瘍細胞を移植を試みても、in vivoでの腫瘍原性は確認できなかった。一方で、これらの細胞培養上清中には、多量のIFN-γが認められたが、TNF-α、IL10、IL4の産生は認められなかった。さらに、CD2^-CD3^-CD4^-T細胞も樹立し、TCR-Vβを解析したところVβ13.1を有することがわかった。他のEBウイルス感染T細胞クローンと比較して、TCR-Vβの集積は認めらるかどうかは、現在検討中である。今後は、LMP分子由来のCTLエピトープとして提示される可能性のあるペプチドを合成し、CTLを誘導する。樹立した細胞株に対する細胞性免疫応答についても解析をすすめる予定である。
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