培養皮膚を用いた遺伝子濫療を実施する上で、表皮角化細胞の漸旺胞の同定は必要不可欠である。そこで我々は、Side Popuration(以下、SP細胞と略す)をセルソーターを用い、幹細胞の新たな分離法の確立と幹細胞マーカーの同定を明らかにし、さらにその分離法を用いた新たな培養皮膚の作製法の開発を試みた。 (1)SP細胞特異的遺伝子発現に関する検討 ヒト表皮角化細胞をTrypsin処理したのち、常法により、無菌的にH33342を用い細胞を蛍光染色した。UVレーザーを搭載したセルソーターによりSP細胞群およびmain popuration細胞群を分離し、Total RNAを抽出した。Applied BiosystemsのDNAマイクロアレイにより、SP細胞群とmain popuration細胞群において約27000種類の遺伝子について検討した。そのうち、シグナル比の増減が顕著(シグナル比が3以上)であった特異的な遺伝子が約10遺伝子あることが明らかになった。この遺伝子について、現在、さらに追試を行ない詳細に検討中である。 (2)SP細胞における幹細胞マーカーの発現の検討 SP細胞が幹細胞として有用であるかについて、従来報告されているマーカーの発現を検討した。従来はb1インテグリン、a6インテグリンの強発現細胞が幹細胞としてのマーカーであるとされているが、SP細胞がこのマーカーをどの程度発現しているかについて、二重染色を行いセルソーターを用いて解析することにより比較検討した。また、それぞれの細胞をスライドグラス上に直接、分取し、種々のマーカーにより染色した。
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