研究概要 |
紫外線照射部位では、ランゲルハンス細胞数が減少し、同部位にハプテンを塗付した際の接触過敏症の誘導が阻害されるが、TLR4欠損マウスであるC3H/Hej(HeJ)では、接触過敏症(contact hypersensitivity,CH)の誘導が阻害されない、すなわち紫外線低抗性であることが報告されている。しかし、紫外線照射によりどの細胞に発現しているTLR4がどのような経緯で紫外線による影響を媒介しているのかは明らかではない。今年度はTLR4の直接刺激を目的に大腸菌由来Lipopolysaccharide(LPS)を投与し、紫外線照射によるCHの抑制効果におけるTLR4分子の役割を検討した。 TLR4 ligandがCHの誘導相に与える影響を検討するため、C3H/HeN(HeN)マウスにLPS(25μg)を真皮注入後、0.5% dinitrofluorobenzene (DNFB)をマウス腹部皮膚に塗布し、5日後0.05% DNFBによる耳介challengeを行い、24,48時間後の耳介腫脹を測定した。LPS注入を行ったマウスでは、コントロール群に比べ有意に耳介腫脹の増強が観察された。この結果は紫外線照射によりCHが阻害されるという結果と相反する結果であった。 そこで紫外線照射とLPS刺激による逆向きの結果を利用して、CHに対する紫外線の効果をLPSによりブロッキングすることを試みた。すなわち紫外線照射後のDNFB塗付直前に25μgLPSの真皮注、または照射1日前のマウス頚部に1μgLPSの皮下注を施行した。いすれのプロトコールにおいてもLPSは紫外線によるCHの抑制を減弱した。以上のごとく、照射の前後に関わらず、TLR4経路を用いたアジュバント効果により、紫外線による有害事象をブロックすることが可能であることが示された。
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