研究概要 |
MRL/lprマウスにおいては、MRL/nマウスとの雑種第一代マウスを作成する事により、ヒスタミン分解酵素活性を測定した。この結果、皮疹出現期にはhistamine-N-methyl transferaseが低下している事が判明し、遺伝学的な背景も明確になった。実験的に作成された薬剤誘発性円板状ループスエリテマトーデスモデルマウスやブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスにおいても、コントロールと比べてマスト細胞の数や脱顆粒している細胞が有意な変動を示した。このような結果は、申請時に予想した結果とほぼ一致している。更に、ビタミンA誘導体(エトレチナート)による治療的な効果発現時には、これらのマスト細胞の一部がアポトーシスに陥っている事が明らかとなった。この結果は、ごく最近,Arthritis Rheumにドイツのグループが発表した、皮疹発症にマスト細胞のTNFαと表皮細胞のTNFαR1が重要とした論文とあわせて考えると極めて興味深い。 次に、これらのマウスの脾細胞やリンパ球、DCなどについて、主にフローサイトメトリーにより、HR1,2,3,4の発現を検索した。自己免疫マウスでは、特にMRLマウスでは一定の偏りがある事が示唆されている。マウスの数を増やすべく、検討を重ねている。また、T細胞にあっては、サイトカインをマーカーとしてTh1,Th2分画について詳細に検討する予定だが、まだ準備段階である。 今後、上記のモデルマウスを用いて、local immunityにおけるリンパ球や単核球細胞のヒスタミンレセプターを解析して、マスト細胞のエリテマトーデスや強皮症の皮疹発症における役割を明確にする予定である。
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