研究概要 |
我々はSLEの自然発症モデルであるMRL/lマウス(1ヶ月齢から1ケ月毎に5ヶ月齢まで)の背部の皮膚(5ヶ月齢のものは皮疹部と無疹部)と、コントロールとして5ヶ月齢のMRL/nマウスの背部の皮膚を採取し、臨床および組織学的に検討した。 MRL/lマウスの皮疹部(5ヶ月齢)ではトルイジンブルー染色にて、無疹部に比べ、有意な肥満細胞数の増加を認めた。また、MRL/lマウスの皮疹部ではTNF-α,IL-2,IL-10,IL-12などのサイトカインの産生を認めたがIFN-γ、IL-4などの産生は認めなかった。また、2ヶ月齢のMRL/lマウスでは皮疹を認めないものの、皮膚にIL-2の産生をRT-PCR法にて認め、その発現は皮疹の出現する5ヶ月齢まで継続的に増強した。 MRL/lの全ての月齢マウスおよびMRL/nマウスにおいて、免疫染色では脂腺周囲から毛包周囲にかけて同程度のNR1,HR2,HR3の発現を認めた。また、RT-PCR法では、HR1とHR3の発現はMRL/lマウスの1ヶ月齢のマウスに最も強く認められ、皮疹発症の有無にかかわらず、加齢とともに減少する傾向にあった。また、HR2の発現は、MRL/lマウスの2ヶ月齢ごろより発現が強くなり、皮疹を有する5ヶ月齢のマウスまでその発現が持続した。しかし、5ヶ月齢のMRL/lマウスの無疹部ではHR2の発現は、2ヶ月齢のMRL/lマウスのものよりも低下した。また、5ヶ月齢のMRL/nマウスでは各月齢のMRL/lマウスよりもHR1、HR2、HR3の全ての発現が低下していた。 以上のことより、MRL/lマウスの皮疹の発症には、Th1型とTh2型のサイトカインの関与が示唆された。Th2型の免疫反応はHR2を介して誘導されているものと考えた。
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