研究課題/領域番号 |
16591131
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣常 秀人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70346203)
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研究分担者 |
鵜飼 聡 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80324763)
石井 良平 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40372619)
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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キーワード | 空間フィルタ / Mirror neuron system / アスペルガー障害 / 脳磁図 / 事象関連脱同期 / μリズム |
研究概要 |
本研究は、アスペルガー障害の中心症状である社会性の障害の神経基盤を脳内の複数の領域が関わる神経ネットワークの障害として捉え、本症候群の病態メカニズムを明らかにすることを目指している。初年度は、他者の動きを認識する過程(Mirror neuron system ; MNS)で生じる脳内の神経活動を、脳磁図の空間フィルタ解析を用いて推定、検討した。平成16年度の主な研究実績は下記のとおりである。 1)健常被験者10名を用い、2つの刺激条件、即ち(1)他人が小さな物品を扱っているのを観察する(観察条件)、(2)他人が扱ったように実際に物品を扱う(実行条件)、での事象関連脱同期(event-related desynchronization ; ERD)を検討した。β帯域(15-30Hz)では運動実行/観察時ともに、感覚運動野で(実行時は左=右、観察時は左>右)でERDが推定された。α帯域(8-15Hz)では運動実行/観察時ともにERD出現率はβ帯域よりも少ないが、観察時に左の上側頭回でERDが半数例で推定された。健常被験者では、他者の行動の認知の際に、上側頭回を経由する視覚的な情報過程と同時に、感覚運動野や頭頂葉などから構成されるMNSが活動していることが示唆された。 2)アスペルガー障害患者7名に対し、上記と同様のMEG測定、解析をおこなった。患者群では健常被験者に比して、運動観察時に感覚運動野におけるERDの出現が少ない傾向があり、上前頭回、上側頭回、頭頂領域でのERDの出現率に健常群とは異なる傾向を認めた。運動観察時のERDはMNSに関連した1次運動野近傍の神経活動を意味することより、患者群ではMNSに障害が存在する可能性が示唆される。また患者群では他人の行動を観察する際に、異なるストラテジーを用いている可能性が示唆された。
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