本研究では、これらドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリンという4種類の神経修飾因子の内側前頭前皮質に対する効果を、in vi troの電気生理学的手法で検討し、以下の結果を得た。 1.DAのGABA作動性シナプス伝達に対する効果 内側前頭前皮質の第5層錐体細胞から微小抑制性シナプス後電流を記録し、GABA性シナプス活動に対するドーパミン(20μK)の効果を解析した。 A.解析したすべての錐体細胞において、DAはGABA性シナプスからのGABA放出を抑制した。 B.GABA_A受容体感受性については錐体細胞によって異なり、増強、減弱という相反する効果が認められ、シナプス前のGABA作動性抑制細胞の亜型の違いに対応するDA感受性の相違が示唆された。 2.GABA作動性抑制性神経細胞及び錐体細胞の膜電位に対するDAの効果 (1)GABA作動性抑制性神経細胞:n=58の細胞から記録を行った。亜型別にみると、Fast-Spiking cellで3/16、low threshold-spiking cellで4/19、regular-spiking cellで8/23で脱分極からスパイク発火が生じた。すべての細胞においてD_2系受容体を介した効果であった。 (2)グルタミン酸作動性錐体細胞:錐体細胞では有意な膜電位の変化は認めなかった(n=14)。 3.錐体細胞スパイク発火後過分極の基礎となる膜電流に対するモノアミンの修飾効果 (1)ドーパミン(20μM):膜電流、スパイク頻度ともに変化なし(n=6)。 (2)ノルアドレナリン(20μM):膜電流を抑制し、スパイク頻度が増加(n=7)。 (3)セロトニン(20μM):膜電流を抑制し、スパイク頻度が増加(n=12)。 (4)カルバコール(20μM):膜電流を最も強力に抑制し、スパイク頻度も増加(n=11)。
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