研究概要 |
生後16日齢のWistar系雄性あるいは雌性ラットにベルを用いた音刺激(122-125dB)を12分間与える(priming)。対照群のラットは、音刺激装置内に12分間滞在させるのみで、ベルは鳴らさない(セッション1)。 セッション1終了後、28日齢に達したラットに同様の音刺激(122-125dB)を1分間与える。これまで行った予備実験の結果において、すべてのprimingラットが音刺激によりwild running(WR)を示した。また,一部のprimingラットはgeneralized tonic-clonic seizures(GTCS)に発展した(GTCS群)。GTCSに発展しなかったprimingラットをWR群とした。対照群のラットにも同様の音刺激を1分間与え、その間の行動観察を行った(セッション2)。 セッション2終了後,ラットをホームケージに戻し、90分後にペントバルビタールによる深麻酔下で潅流固定後脳を摘出し,その後の免疫組織化学法(単染色及び2重染色)に供した。灌流固定後、脳を摘出した。取り出された脳は、後固定後、ミクロトームにより凍結切片とし、下丘と上丘の2箇所を含む切片を作製した。Fosとの2重染色においては,GABA及び3種類のNMDA受容体サブユニット(NR1,NR2A, NR2B)に対する計4種類の抗体のなかからひとつを組み合わせて免疫染色を施行した。 対照群との比較において,GTCS群の下丘,上丘のいずれの部位においても有意なFos蛋白発現の増加がみられた。WR群の下丘においても有意なFos発現の増加が観察された。しかしながら,上丘のDpGにおけるFos発現には対照群と比べて有意な増加は認められなかった。 下丘,上丘いずれの部位においても,痙攣に伴い発現したFos陽性細胞全体の3 4割がGABAを含んでおり,2 3割はNMDA受容体を有していることが明らかとなった。
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