これまで、本研究を実施するための予備的段階として、複数の文献から、成人の注意欠陥/多動性障害(Adult AD/HD)、および、成人アスペルガー障害(Adult AS)の行動的特徴と考えられるものを、第一段階として、それぞれ、25項目ずつ抽出した。 研究者は、第一段階で抽出された合計50項目(『よく忘れ物をする』、『行わなければならないことなのに先延ばしして、期限に間に合わないことが多い』など(以上はAdult AD/HD)、『視線を合わせるが強い緊張感を感じる』『場の空気を読めないと言われる』など(以上はAdult AS))について、一般健康対照群200名に対して施行し、その結果を因子分析する予定であるが、研究代表者の所属が移籍したために、研究の実施が遅れている。現段階で、122名からの回答が得られている段階であり、現在、回答者数を増やしているところである。また、本研究を実施するために、平成16年度分の予算を用いて、デスクトップ型コンピュータを一台購入し、表計算ソフトに得られたデータを入力している。 また、本研究実施のためには、成人発達障害患者の外来治療ないし入院治療が、相当数存在することが必須条件となるため、現在、成人発達障害患者の外来治療に力を入れて行っている。この点、研究代表者の移籍先である熊本大学でも、次第に成人発達障害患者の治療が行える体制ができてきたため、次第に患者数が増加しており、充分研究に耐えるような患者数を確保できるようになってきた。 平成17年度は、第一段階の調査を追加して行い、その結果を、平成17年度購入予定の統計ソフトを用いて、因子分析をおこないカテゴリーを絞り込み、約30項目のチェックリストを作成し、患者に施行し、妥当性その他を検討する予定である。
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