研究課題
幼少期に血中グルココルチコイド量を調節したラットを用い、ストレス負荷時の海馬NMDA受容体発現の経時的変化と学習およびストレス対処行動との関連を対照群と比較検討し、また、NMDA受容体拮抗薬による予防効果を検討した。SDラットを用いて、正常対照群、副腎摘出群、副腎摘出後にcorticosterone徐放剤を皮下留置した群、副腎摘出をおこなわずにcorticosterone徐放剤のみ皮下留置した群に分け、血中corticosterone濃度を調整した。また、それぞれの群に対し、浸透圧ポンプを用いたNMDA受容体拮抗薬(memantine)投与群と非投与群を作成した。それぞれのラットにつき、採血をおこない血中corticosterone濃度を測定するとともに、処置から2週間後にY字迷路による学習障害の測定(Day1、その4日後、及びその6日後)、および赤外線を用いた行動観察装置(Animex)により活動量(Day1とその6日後)を測定した。この結果、各群において体重、総活動量に有意な差は認められなかったが、正常対照群、副腎摘出群に対してcorticosterone徐放剤のみ留置し、血中corticosterone濃度を上昇させた群では学習障害の傾向を認めた。また、血中corticosterone濃度を上昇させた群にmemantineを投与した群では学習障害が見られなかったが(Day6)、活動量の減衰が強くみられ、今後検討を要すると考えられた。corticosterone濃度を上昇させた群のラットの海馬におけるNMDA受容体サブユニットのmRNA発現量をin situ hybridization法を用いて測定したところ、NR2Bの発現が低下する傾向を認め、corticosteroneによりNR2Bなどに変化が生じ、学習機能に何らかの影響があるものと推測された。
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