作年度に引き続き、自閉症を含む広汎性発達障害の症状評価(予後評価)を行うための質問紙形式の評価表を作成し、信頼性妥当性について検討を行った。発達障害にみられる行動特微は、健常児にもある一定の率で認められることがあきらかになり、あらためて発達障害の概念やその診断基準について、今後さらに吟味が必要であることがわかった。 発達障害児とそうでない子どもをもつ家族の経験するストレス関連のライフイベントを調査するために、ライフイベント質問票を作成した。本質問票の信頼性、妥当性について、健常5歳児の保護者を対象とした調査を行った。家族機能をライフイベント数の影響をうけるアウトカムとして調査したところ、ストレスとなるライフイベントを多く経験した家族は、その機能が低下する傾向がみとめられた。今後、ストレスとなるライフイベントが自閉症やその他の発達障害の発症、および予後にどのように寄与するのか、発達障害の症候をアウトカムとし、ライフイベントその他を曝露因子と定めた調査研究を吹年度におこなう。それによって、発達障害児のケアのありかた、特に医療機関や療育機関の枠を越えた地域での支援のありかたについて提言をまとめる予定である。
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