研究概要 |
昨日度に引き続き,発達障害児とその家族が日常生活の中で経験するライフストレスを抽出する目的でライフイベント質問票を今年度新たに作成し,その信頼性妥当性の検討を行った。ライフイベントは日常生活の中で体験するストレス要因であるが,ストレッサーとしての強さだけではなく,体験をポジティブにとらえていくきっかけとなるものでもあり,日常生活のどのようなできごとが,家族や発達障害を持つ子どもにどのように影響を与えうるのかを明らかにするための研究の第一歩となるものである。 ライフイベントが生活ストレスとなるためには,そのライフイベントを経験する家庭のもつ家族機能が大きく関係するものと考え,家族機能とライフイベントの関係を調査し報告した。家族機能が低下していると,ちょっとした日常生活ストレスも健康への影響を持ちやすいことが認められた。特に育児をしている年齢の家庭においては,家族機能が大きく子どもの行動や認知に影響をあたえる可能性が示唆された。 さらに自閉症(広汎性発達障害)の認知パターンを知能検査WISC-IIIを用いて簡便に検討する方法を見いだすための症例研究を行った。 今年度はこれらの結果をふまえ,研究会と全国学会にあわせて実績を報告した。研究会・全国学会の主催にあたり会長講演においてこれらの成果を発表し,また今後の研究協力をつのることかできた。
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