研究課題/領域番号 |
16591161
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
桐野 衛二 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90276460)
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研究分担者 |
稲見 理絵 順天堂大学, 医学部, 助手 (50338331)
池田 千佐子 順天堂大学, 医学部, 助手 (30317383)
福田 麻由子 順天堂大学, 医学部, 助手 (00348989)
宇田川 正子 順天堂大学, 医学部, 助手 (70338333)
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キーワード | functional MRI / 事象関連電位 / 統合失調症 / LORETA / 顔認知 |
研究概要 |
functionalMRI(fMRI)と事象関連電位(event-related potentials : ERP)を用いて統合失調症の高次脳機能障害を検討した。ERPにおいてはLORETA(low resolution brain electromagnetic tomography)を用い活動源推定を図った。本年度は「表情の動き認知」課題を中心に検討した。ERPでは、対照群・統合失調症群ともに、N200は対照刺激よりも高振幅で潜時が遅くなる傾向を認めた。表情の動きに対する情報処理においては、静止した表情認知よりも複雑で多くの情報を処理していることが反映されたものと考えられた。統合失調症群においてはmoving刺激とstatic刺激の振幅の差が対照群よりも小さい傾向を認め、表情の動き認知に障害が存在することが示された。統合失調症群においてはstatic low emotionに対するN200潜時がstatic positive emotionよりも延長しており、微妙な表情の理解の困難さ、またはpositiveな表情に対してもnegativeまたは過敏な反応をしていることを反映する所見と考えられた。moving low emotionにおけるN200成分はPANSSと有意な相関を示した。表情の動き(特に曖昧な)の認知障害が臨床的に重要な意義を持つと考えられた。統合失調症群は、LORETAにおいて従来顔やbiological motionや情動の認知と関連が深いと報告されていた左precuneus・右insula・右fusiform gyrusなどの部位が低活性である反面、static positive emotionに対して左insula・前部帯状回が過活性であった。fMRIにおいても右または左insula・左amygdala・右または左前部帯状回において過活動であった。表情の動きの認知における不充分な理解と過敏な反応が併存するものと考えられた。
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