研究概要 |
ビタミンB12(B12)は概日リズム睡眠障害に対する有効性が数多く報告され、作用機序の一つに睡眠促進作用がある。当大学倫理委員会の承認のもと、B12の不眠症者における睡眠のミクロ構造に与える影響の明確化を目的にCyclic alternative pattern(以下CAP)を用いた検討を行った。 対象:Step1:男性健常被験者8名(平均年齢33.1±4.2歳) Step2:女性精神生理性不眠症8名(年齢36.5±11.2歳) (いずれも本人の文書同意を得た) 方法:1)期間:プラセボおよびB12投与期間、2)薬剤:メチルコバラミン500μgもしくは生理食塩水1mlをPSG検査施行1時間前に単回静脈内投与。3)検査項目:a)活動量計、b)睡眠日誌、c)B12血中濃度および不飽和結合能,d)夜間PSG(0時より7.5時間測定、後日R&K法及びCAP法により視察判定),e)精神作業能力:Psychomotor Vigilance Task(PVT),f)Visual analog scale(VAS) 結果: B12静脈内投与により…、 Step1 1)B12血中濃度は有意に上昇した、2)睡眠パラメータに有意な変化はなかった、3)CAP時間,CAP率(37.1±14.6→31.1±15.1%,p=0.0499)、CAPサイクノレ数、サブタイフ A2+A3数は有意に減少した、4)翌朝の主観的眠気、PVTの各指数に有意差はなかった。 Step2 1)B12結合能は有意に低下した、2)睡眠パラメータに有意な変化はなかった、3)CAP時間,CAP率(62.6±10.3→53.4±10.4%,p=0.028)、CAPサイクル数、サブタイフ A1数は有意に減少した、4)翌朝の主観的眠気、PVTの各指数に有意差はなかった。 結語:B12静脈内投与は健常者および不眠症者において睡眠安定化作用を有する可能性が示唆された。
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