研究課題/領域番号 |
16591170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
松井 宏晃 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90181685)
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研究分担者 |
長田 賢一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20233504)
廣井 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20238398)
朝倉 幹雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (70103504)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | トリプトファン水酸化酵素2 / トリプトファン水酸化酵素1 / 転写制御領域 / ラット縫線核由来RN46A細胞 / 神経特異的抑制因子 / 神経特異的抑制配列 / ヒストンデアセチラーゼ |
研究概要 |
温度感受性SV40T抗原で不死化した中枢神経系セロトニン(5-HT)神経細胞株RN46Aを用い、ヒト脳型トリプトファン水酸化酵素(TPH2)遺伝子発現制御因子群の同定を試みた。ヒトTPH2追伝子転写開始部位は、Inverse PCR法により同定した。ヒトTPH2遺伝子5'非翻訳領域(8.7-kb)をpGL4に接続後、欠失変異体を作製し、RN46A細胞へ形質導入後、ルシフェラーゼ活性を指標にヒトTPH2遺伝子プロモーター活性を評価した。ヒトTPH2遺伝子転写開始部位は、翻訳開始コドンから5'上流-143に位置した。RT-PCRにてRN46A細胞が、5-HT神経細胞分化の指標であるMash1、Nkx22、Lmx1b、GATA2、GATA3、Pet-1遺伝子を発現することを確認した。しかし、分裂促進のみならず分化促進条件下においても、RN46A細胞ではヒトTPH2辿伝子プロモーター活性が検出されなかった。転写開始部位近傍の塩基配列検索から、TPH2-NRSEが見出された。RN46A細胞核タンパク質、ヒトTPH2遺伝子の神経特異的抑制因子(NRSF)結合配列(TPH2-NRSE)オリゴヌクレオチドを用いゲルシフトアッセイにより、NRSFがTPH2-NRSEに結合することを確認した。TPH2-NRSEへの変異導入あるいはヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬トリコスタチンA処理により、ヒトTPH2遺伝子プロモーター活性が促進された。以上の結果から、RN46A細胞では、生体内における5-HT神経細胞の性質が保持されているものの、NRSF遺伝子の持続的発現によりTPH2辿伝子発現が強く抑制されていること、さらに神経活動依存性にNRSF活性制御機構が知られていることから、生体内では、TPH2遺伝子発現が抑制性調節の解除機構を介して、厳密に制御されている可能性が示唆された。
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