研究概要 |
選択基準に基づき、16名の強迫性障害患者(男性7名と女性9名)と16名の健常被験者(男性7名と女性9名)のテンソルMRI撮影を終了した。 患者の年齢は、28.7±9.8歳であり、健常者の年齢は29.9±9.0歳であった。患者の強迫症状の重症度を表すY-BOCSの点数は、26.0±5.3点であり、うつ症状の重症度を表す点数は、5.3±2.7点であった。 MRI装置は、1.5TeslaのGE Signa Horizon LXを用い、前交連および後交連を結んだ線(AC-PC line)に平行な水平断面についてspin-echo type single-shot echoplanar sequence(TR 2000ms、FOV 24×24cm、マトリックス128×128、加算回数4回)の条件下で、1000s/mm^2の拡散検出傾斜磁場を印加して計9スライスの拡散強調画像を得た。得られた拡散協調画像を光磁気ディスク(消耗品として必要となる)に保存している。用手ROI法にてテンソル解析を行い、FA(fractional anistropy)を算出した。 ROIは、脳梁の5つの部位(rostrum, genu, rostral body, isthmus, splenium)に設定した。ROIの大きさは、2×2mmとした。 2名の検査者が、無作為に抽出された10名(患者5名、健常者5名)に、別々にROIを設定し、その一致度を確かめたところ、全ての部位において0.94であり、本手法におけるEAは、検査者間での信頼度にすぐれていることが確認された。 患者間と健常者間のFAに有意差がみられたのは、rostrumだけであり、他の4部位には有意差は認められなかった。本研究で得られた知見を国内学会、国際学会で発表し、国際学会においては第14回欧州精神科医学会でベストポスター賞を受賞した。現在海外の学会誌に投稿中である。
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