研究概要 |
calcineurin gamma subunitをコードする遺伝子の関連研究およびregulatory subunitの遺伝子改変動物実験などから統合失調症とcalcineurin関連遺伝子との関連が注目されている。 そこで、本研究では統合失調症への関与が考えられるすべてのcalcineurin関連遺伝子について、日本人統合失調症家系を用いて系統的に遺伝子多型の検出および遺伝統計学的検討を行い、さらに有意な結果を得た遺伝子については機能解析を行い、最終的にはcalcineurinのsignal cascadeとしての統合失調症への関与のついての検討を目的とした。 まず、遺伝子多型解析・遺伝統計学的解析を開始するに足るサンプルとして、376名からなる124統合失調症患者家系および統合失調症孤発例・健常対照者各570名(計1140名)を収集し、解析を開始した。臨床診断は原則として構造化面接(Structured Clinical Interview for DSM-IV:SCID)を採用し、詳細かつ正確な診断を目指した。calcineurin関連遺伝子について、統合失調症連鎖領域・機能的関与の可能性などを考慮したうえで重要と思われるものから解析を進めており、現在までにprotein phosphatase 3 subunitとして知られているPPP3CA,PPP3CB,PPP3CC,PPP3R1,PPP3R2については遺伝子多型解析・遺伝統計学的解析をすべて終了し、複数のSNPsについて家系サンプルで有意な結果を得ている。さらにそれらのSNPsは統合失調症孤発例・健常対照者でも弱いながら有意な傾向を示している。現在、他のcalcineurin関連遺伝子についても解析を系統的に進めており、signal cascadeとしての機序を検討している。
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