研究課題
基盤研究(C)
PETにより認知疾患を早期に鑑別するマーカーとして、末梢性ベンゾジアゼピン受容体に特異的に結合する放射性薬剤[^<11>C]DAA1106を開発した。アルツハイマー病モデルマウスを用いた検討で、末梢性ベンゾジアゼピン受容体の免疫染色およびDAA1106によるオートラジオグラフィーにより、モデルマウス老人班周囲の活性化ミクログリアに高密度で末梢性ベンゾジアゼピン受容体が局在することを見出した。以上からアルツハイマー病脳における末梢性ベンゾジアゼピン受容体の変化は、疾患特異的な病理変化に関連した活性化ミクログリアを反映することを確認した。上記の知見に基づき、PETおよび[^<11>C]DAA1106を用い、アルツハイマー病患者10名と性別年齢をあわせた健常高齢者11名を対象にPET検査を行なった。動脈血から得たデータを入力関数として3 compartment modelによって各脳部位ごとの末梢性ベンゾジアゼピン受容体結合能(Bp)の定量を行った。その結果、脳の広範な領域においてアルツハイマー病患者群のBpは健常群と比較して有意に上昇していた。さらに、軽度認知障害を有するがPET測定時点では認知症の診断基準を満たさなかった高齢被験者7名を対象に上記と同様の測定を行った。その結果、アルツハイマー病患者群と同様に脳内の広範な領域で末梢性ベンゾジアゼピン受容体結合能の増大がみられた。これらの結果から、アルツハイマー病によりミクログリア活性の上昇に関連した末梢性ベンゾジアゼピン受容体結合能の増大がみられることが明らかになった。また、明らかな痴呆状態を呈さないが、軽度の認知障害を認めた被験者群たおいても認知症患者と同様の変化がみられたことから[^<11>C]DAA1106を用いた末梢性ベンゾジアゼピン受容体結合能の測定により、認知症の前駆段階から疾患が鑑別しえる可能性が示された。
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