研究概要 |
細胞増殖能評価を目的とした陽電子放出画像診断薬剤2-^<11>C-チミジンは、中間体2-^<11>C-チミン合成経路の複雑さと合成時間の長さが、臨床応用に対するひとつの障壁となっていた。従来法では^<11>C-ホスゲンから導かれた^<11>C-ウレアを標識化に用いた。我々は新規2-^<11>C-チミン合成法開発を目的として、^<11>C-ホスゲンと直接環化反応しうる前駆体を合成し、それを用いたチミン合成法の開発と有用性につい検討することとした。 【方法・結果】先ず重要な鍵中間体と期待されるβ-アミノメタクリルアミド誘導体の合成法について種々の合成法について検討した。その結果、ethyl α-formylpropionateとNH_3とのシッフ塩基を経由しβ-アミノメタクリルアミド誘導体2が合成された。次にβ-アミノメタクリルアミド誘導体2とトリホスゲンとの環化反応について検討した。2のトリフォスゲンとの直接環形成反応を実施したが残念ながら反応はまったく進行せず,原料回収に終わった.そこで次に2をアルカリ金属塩とすることにより活性化し,トリホスゲンとの反応を実施したところ,定量的にチミンを与えた。この反応を、照射条件10μA,10分間で製した^<11>C-ホスゲンとの反応に適用したところ、362±53MBq(n=3,EOS)の2-^<11>C-チミンを与えた。合成時間は照射終了後わずか16分間であった。 【今後の計画】今後この反応の一般合成法としての有用性について検討すると共に、今回得られたチミンをさらにチミジンに導き血管新生剤としての有用性について検討していく予定である。 【結果の発表】猶、これらの成果の一部は、3月東京で開催される第125年会において、演題名"新規2-^<11>C-チミン合成法"として発表することになっている。
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