研究課題
基盤研究(C)
Thymidine Phosphorylase(TP)は、ThymidineからThymineとα-D-2-deoxyribose-1-phophateへ可逆的に加リン酸分解を触媒する酵素である。TPは正常組織に比べ様々な固形腫瘍において高レベルで発現し、抗癌剤である5-FUの活性化にも関与する。近年、TPは、血管新生因子である血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)と同一タンパク質であること、さらにその酵素活性は、腫瘍の血管新生、浸潤、転移と関連があることが明らかとなっている。本研究では、我々のグループが開発した放射性標識鍵試薬(11C-phosgen)を用い、TPの発現すなわち腫瘍における血管新生をインビボで選択的にイメージングできる放射性薬剤の開発を計画した。既知のピリミジン系TP阻害剤をベース化合物とした、5-Bromo-6-[2-(oxoimidazolidinyl)methyl]uracilの^<11>C標識体([^<11>C]-BOMU)を分子設計・合成し、そのTP標的核医学イメージング剤としての有用性を基礎的に検討した。その結果BOMUは6-chloromethyluracilを出発原料とし、3工程を経て71%の高収率で合成された。また、[^<11>C]-BOMUも、トリフォスゲンに替えて11C-phosogenを用いることにより、収量1.6GBq、放射化学的純度99%以上で得ることに成功した。BOMUのTP阻害活性を調べた結果、濃度依存的に阻害活性は上昇し、IC_<50>は4.50μMとなり、腫瘍診断薬剤としての有用性が示唆された。さらに、細胞増殖を指標としたイメージング剤の開発研究に拡大し、[11C]phosogenを鍵標識剤とする[11C]5-FUの合成にも、重要中間体formyfluorolacetateの合成に成功したことにより、達成された。[11C]5-FUは、ガン化学療法の治療予測、治療効果の評価のために、臨床上有用なものとなることが期待されるものである。
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