研究課題/領域番号 |
16591181
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小原 春雄 東北大学, 医学部, 助教授 (90006362)
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研究分担者 |
大石 幹雄 東北大学, 医学部, 教授 (20004921)
洞口 正之 東北大学, 医学部, 教授 (20172075)
丸岡 伸 東北大学, 医学部, 教授 (90173947)
本間 経康 東北大学, 医学部, 助教授 (30282023)
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キーワード | フラッシュX線管 / 冷陰極放電機構 / 高速度(μ秒)X線撮影 / Rogowski-coil / X線スペクトル |
研究概要 |
通常使用している診断用X線装置のX線管は、熱電子放出を利用した熱陰極X線管であるのに対し開発したX線管は電子の電界放出を利用した冷陰極X線管(フラッシュX線管)である。フラッシュX線管は陽極、陰極、トリガ電極で構成され、陽・陰極材質の交換、トリガ電極-陰極同距離、陽極-陰極間距離、管内真空度の調整により電子の電界放出を無限に引き出しX線を発生させる。特に、陽極材質の交換では硬X線用としてタングステン(W)ターゲットを、軟X線用としてモリブデン(Mo)を使用することで両線質のX線を発生させることができ、体内組織に対応した撮影が可能である。X線放射機構に関する電気的特性およびX線出力特性として、放電電流の測定はフラッシュX線管外部に今年度購入したパルスカレントトランス(ピアソン・エレクトロニクス110A)を置き、瞬間大電流の作る磁界によりコイルに誘起する起電力を電流微分波形とし、一方X線出力と曝射時間の測定は応答の速い液体シンチレータで検出し、今年度購入のデジタル・フォスフア・オシロスコープ(テクトロニクス・TDS3012B)で両波形を同時測定した。充電電圧80kV、陽極(W)角度120°、陰極角度50°、陽極-陰極間距離0.5cm、管内真空度6.0×10^<-3>Paの条件のもとで測定した管電流は40×10^3Aであった。また、同条件のもとX線管焦点より1.0mの距離におけるX線出力の曝射時間は半値幅で0.3μsec.、パルス幅10%で1.0×10^<-6>sec.以下であった。この瞬間大電流のもとに1.0μsec.以下の曝射が可能となった。更に、今年度購入の結晶分光器(トーレック・特注SP-04)にフッ化リチウム単結晶(大きさ:20×20×0.5cm^3、表面(2,0,0)を用いてX線スペクトルを測定した。陽極にタングステン(W)を用いたX線スペクトル測定では58.9keVおよび67.2keVにそれぞれ特性X線Kα、Kβ線が観測され、モリブデン(Mo)を用いたX線スペクトルでは17.4keV、19.5keVに特性X線Kα、Kβ線が観測された。この特性X線を含め連続X線スペクトルを加味したX線の線質を見極める必要がある。X線出力は高電圧コンデンサの静電容量、充電電圧、陽極-陰極間距離、管内真空度によって調整可能で、各パラメータを変え測定を積み重ねることで、高速度(μ秒)撮影を生かした各体内組織に対応した臨床に十分適応できるものと考える。
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