研究課題/領域番号 |
16591194
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
絹谷 清剛 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (20281024)
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研究分担者 |
川井 恵一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (30204663)
鷲山 幸信 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (80313675)
吉本 光喜 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (00345638)
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キーワード | 放射性リガンド / アビジン / 悪性腫瘍 / 内用療法 |
研究概要 |
前年度までに樹立したLS180ヒト大腸癌細胞のマウス腹腔内播種モデルにおいて、治療時の腫瘍サイズと内照射の効果の関連性を検討した。大腸癌腹腔内播種は、手術操作そのものにより惹起されることがある。そこで腹腔内播種モデルを用いて、超早期における内照射療法の意義を観察した。1x10^6の細胞をBalb/cヌードマウス腹腔内に移植した。移植後、chloramin-T法でI131標識した抗大腸癌抗体と、MAG3キレートでRe186標識した抗体を、このモデルにおける最大耐用投与量の70%の投与量で腹腔内投与し、マウス生存期間を観察した。治療時期は、m手術操作直後を仮定した細胞移植直後、肉眼的な腫瘍を形成していない移植3日後、径1mm程度の腫瘤を形成する7日後、腫瘍が互いに融合し大きな腫瘍塊となる14日後に設定した。治療効果を、大腸癌に対して頻用される抗癌剤である5-FUを用いてその最大耐用投与量で治療を行ったマウスと比較した。いずれの治療群も未治療の群にくらべ有意に生存期間が改善した。特に、腫瘍移植直後に治療を行った場合が最も効果的であった。さらに、Re186標識抗体の優位性が明らかであった。治療効果は、5-FUによる化学療法よりも有意に顕著であった。これらの結果で注目すべきは、細胞が腹腔内に浮遊した状態であるはずの移植直後の治療で最も有効であること、β線エネルギーの高い核種でも達成可能なことがあげられる。これらの結果は、本研究の目的であるビオチン標識体の放射能核種の選択に際し、有用な情報を与えてくれた。
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