研究概要 |
A:肺RFAの臨床的有用性の検討 (1)大腸癌肺転移 肺RFAの臨床的有用性を大腸癌肺転移症例71例で検討した。全体の3年生存率は46%であった。肺以外の転移、腫瘍径、腫瘍マーカーが有意な予後因子であった。肺以外の転移が無く、腫瘍径が3cm以下であれば、3年生存率は78%と肺切除に匹敵するものであった。 (2)手術不能肺癌 切除不能肺癌19症例で、肺RFAの有用性を検討した。Stage-I, IIの11症例とStage-III, IVの8症例の4年生存率はそれぞれ53%、34%であった。 (3)肺癌術後再発例 肺癌術後再発27症例で、肺RFAの有用性を検討した。全体の3年生存率は58%であった。腫瘍径が2cm以下であれば3年生存率は68%であった。 以上から、肺RFAは手術不能肺腫瘍患者に有用な治療法であると考えられる。 B:肺RFAの基礎的研究 マイクロウェーブは同時に多数の電極を活性化できるため、短時間で大きな凝固領域が得られる事が知られている。しかし、実際にどれだけ電極間の距離を開ければ最適な凝固領域が得られるかの基礎的研究はなされていない。我々は牛肝で1本、2本、3本のマイクロウェーブ電極を1-3cmの間隔で同時に活性化させ、くぼみが無く大きな凝固領域が得られる条件を検討した。1本の電極を活性化させた時、得られる凝固領域の短径、長径、体積は、2.4±0.2cm,2.6±0.1cm,14±1.7cm3であつた。これらは2本、3本と電極が増えるに従って大きくなったが、電極間隔を2cmより大きくとると、電極間の凝固領域にくぼみが生じた。2cm間隔で2本、3本の電極を活性化させた時、短径、長径、体積はそれぞれ、2.8±0.2cmと3.8±0.2cm、4.3±0.4cmと4.6±0.3cm、27±3cm3と47±5cm3と有意に増加した。これらの結果は肺RFAを行う際に有用な情報となると考えられる。
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