研究課題/領域番号 |
16591202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋川 一雄 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70281128)
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研究分担者 |
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 教授 (90181297)
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | ニコチン受容体 / パーキンソン病 / 喫煙 / SPECT |
研究概要 |
目的:新しく開発したSPECT用トレーサ5IAを用いたニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の定量測定法の確立し、パーキンソン病(PD)に認知機能との関連を検討することを目的とした。 方法:健常者に5IAを静脈し、続いて6時間の断続的dynamic SPECT収集を施行した。動脈血からTLCを用いて真の5-IA放射能を求め入力関数とし、2コンパートメントモデル(2C)およびLogan plotを用いて5IAの分布容積(DV)を求めた。また、喫煙習慣を有する若年健常者を対象とし、喫煙中および禁煙後の2回の5-IA SPECT検査を行った。次に。PD患者を対象として臨床症状とDVの関連を検討した。 結果:2CおよびLogan Plotで、良好なfittingが得られ、両者で求めたDVは良く一致した。2Cによって得られたDVは、視床でもっとも高く、脳幹、小脳、基底核、大脳皮質の順で低下し、大脳皮質では後頭葉でもっとも低値であった。この結果は、死後脳でのnAChR密度の報告と一致した。喫煙習慣を有する健常者のDVは、非喫煙者のDVに比較して喫煙中において低下を認め、禁煙後には上昇を認めた。喫煙中のDVの低下は慢性的なニコチン吸入によるnAChRのdown regulationと考えられた。PD患者では年齢を一致させた健常者に比較して、前頭葉および脳幹でのDVの有意な低下を認めた。また、ドーパミンアゴニスト服用量とDVの間に負の相関を認めた。前者は、明らかな認知機能低下の認めないPDにおいても、詳細な検討によって前頭葉機能低下を認めることに一致する所見と考えられた。また、ドーパミンアゴニストとDVの間に負の相関を認めたことは、ドーパミン神経を調整するニコチン神経に対するフィードバック機構の存在を示唆した。 結論:5IA SPECTによるニコチン受容体定量測定法を確立し、in vivoにて喫煙負荷によるニコチン受容体分布容積変化の検出に成功した。PD患者における病態の解明に有用であった。
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