研究課題/領域番号 |
16591204
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (80238914)
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研究分担者 |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
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キーワード | 血管標的薬剤 / 低酸素細胞毒 / 中性子捕捉療法 / 休止期腫瘍細胞 / 分割照射 / 微小核 / アポトーシス / 低酸素細胞分画 |
研究概要 |
休止期(Q)腫瘍細胞に対する血管標的薬剤の効果を、殺腫瘍細胞効果を有する放射線照射や抗癌剤投与等との併用も加味して、すでに我々によって確立された、細胞の増殖死と密接に関連する微小核またはアポトーシスの出現頻度と5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)の連続投与によるQ腫瘍細胞の同定とを結合した、選択的にQ腫瘍細胞反応を検出する手法を用いることによって評価し、固形腫瘍に対する総合的な分析を行う事を目的とする。 これまでの我々の研究より明らかになったが、低酸素細胞分画の大きなQ腫瘍細胞を効率よく殺すことのできる低酸素細胞毒の生体還元物質の投与との併用による効果の分析、さらに研究代表者の所属部局で施行中の中性子捕捉療法への応用に向け、血管標的薬剤併用による中性子捕捉化合物の腫瘍内分布向上に関する分析なども世界でほぼ初めての試みとして行ってみた。 その結果、低酸素細胞毒であるTirapazamineや新規の低酸素細胞毒であるTX-402の殺腫瘍細胞効果は、血管標的薬剤の併用によって増強される事、中性子捕捉化合物、特にBSHの腫瘍内分布が血管標的薬剤の併用によって改善され、化合物投与による腫瘍内増殖期(P)細胞とQ腫瘍細胞との感受性の差もある程度減少させ得る事が明らかになった。 また付随的にではあるが、TirapazamineやTX-402などの低酸素細胞毒の連続的投与が、腫瘍内の急性低酸素細胞分画に対して効果的に作用し、それらによる殺腫瘍細胞効果を増強させる事も明らかになった。 次年度は、血管標的薬剤による効果や低酸素細胞毒の連続的投与による効果のp53 Status依存性、放射線の分割照射や抗癌剤投与時に血管標的薬剤を併用する場合の効果的順序などを検討したい。
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