研究課題/領域番号 |
16591213
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
長町 茂樹 宮崎大学, 医学部, 助教授 (40180517)
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研究分担者 |
春田 厚 宮崎大学, 医学部, 助教授 (90201722)
石田 康 宮崎大学, 医学部, 教授 (20212897)
小野 誠治 宮崎大学, 医学部, 講師 (00169335)
中田 博 宮崎大学, 医学部, 助手 (00363599)
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キーワード | 不顕性誤嚥 / 脳血流SPECT / SPM / 3DSSP / 誤嚥性肺炎 / 頭頸部腫瘍 |
研究概要 |
(背景)頭頸部腫瘍患者では嚥下機能異常に伴う嚥下性肺炎が認められる。その原因である不顕性誤嚥を早期に発見し誤嚥性肺炎の発症を予測、予防することは医療経済学的にも重要である。一方大脳の高次機能に異常があると誤嚥のriskが増加することも知られている。従って、大脳の高次機能異常の適切な評価は、不顕性誤嚥の評価、誤嚥性肺炎の予測、予防に重要である。(目的)不顕性誤嚥があり誤嚥性肺炎のriskを有する頭頸部腫瘍患者の局所脳血流異常を解析する。(方法)(1)不顕性誤嚥の確認:頭頚部腫瘍患者を対象にTc-99m-DTPA(150MBq)を内服させ2時間、及び24時間後を撮像することで、2時間後では正常でも24時間で肺野に異常集積を認める症例を不顕性誤嚥と定義する。(2)不顕性誤嚥患者のbaselineの脳血流分布をTc脳血流SPECT検査とSPM解析により評価する。(結果)(1)15人の頭頚部腫瘍患者のうち、2時間後の胸部正面像では14名まで正常であり、24時間後では9名が正常であり、5名に不顕性誤嚥患者が認められた。(2)5名の局所脳血流のSPM解析では、上、内側前頭回、帯状回、中心後回に血流低下が認められた。(考察)(1)不顕性誤嚥診断の妥当性:X線透視下の造影剤を用いた診断では顕性誤嚥の診断は可能であるが、不顕性誤嚥は困難である。今回、睡眠時を含めた経時的撮像により、30%上の症例で検出されたことから、本法の妥当性が確認された。(2)上、内側前頭回、帯状回、中心後回に血流低下が認められたことは、嚥下機能の一部に本領域が関与することを示唆するものである。同領域の脳血流異常を認める患者では誤嚥性肺炎の発症が予測されることから、PEG等の治療方針をたてる上で重要な所見と思われる。(結論)(1)頭頸部腫瘍患者の不顕性誤嚥の診断方法としてTc-99m-DTPAを用いた経時的胸部撮像が有効な方法として確認された。(2)不顕性誤嚥患者では脳血流SPECT上、上、内側前頭回、帯状回、中心後回に異常が認められ、これらの領域が嚥下機能調節に関与する事が確認された
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