研究概要 |
骨髄単核細胞・末梢血単核細胞移植による虚血心筋血管新生治療の効果判定における核医学的評価の有用性の検討を行った。ラット60分虚血・再灌流モデルを作成、24時間後に^<99>mTc-Tetrofosmin心筋SPECTと心臓超音波検査を行い、DiI標識骨髄単核細胞または末梢血単核細胞1×10^7個を左室腔内に注入した(各n=8)。生食投与群(n=8)も作成し、4週後に同様の検査を行った。心筋構成細胞にFITC標識免疫染色を施した。ガンマカメラで撮像した心筋SPECTからBull's Eye Mapを作成し、正常ラット10匹の心筋SPECTから作成したNormal Fileとの比較から求めたDefect Score, Severity Scoreは、骨髄単核細胞移植群で有意な改善(-36.4%, p=0.01; -24.3%, p=0.003)、末梢血単核細胞移植群で改善傾向(-18.5%, -13.9%)、生食投与群では憎悪傾向(+13.9%,+4.8%)を認めた。虚血地域での血管内皮細胞数は、骨髄単核細胞移植群、末梢血単核細胞移植群で生食投与群に較べ有意に多かった(177±29,157±15,68±6/0.25mm^2)。免疫染色標本の観察から移植細胞の内皮細胞への分化が確認された。心臓超音波検査での左室短縮率は、生食投与群で43.5%低下したが、骨髄単核細胞移植群、末梢血単核細胞移植群では14.5%、19.4%の低下に留まった。骨髄単核細胞移植群では、末梢血単核細胞移植群に比して心筋血流改善効果が優れており、左室の機能低下抑制も骨髄単核細胞移植群でより効果的であった。また、心筋シンチグラフィと心臓超音波検査は、心筋梗塞後の左室機能低下を抑制する血管新生治療の効果判定に有用と考えられた。
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