研究概要 |
心筋梗塞モデルを用いて,移植した骨髄単核細胞から血管内皮細胞への分化増殖による脈管形成,引き続いて起こる血管新生の過程を放射性同位元素(RI)標識thymidine analogによりin-vivo imagingすることができるか検討を行った。thymidine analogで,thymidine同様DNA合成の基質となり,DNA合成を直接的に反映する3'-deoxy-3'-fluorothymidine(FLT)のRI標識体でこの細胞分化増殖過程を画像化することを試みるために,ラット60分虚血・再灌流モデルを作成,24時間後に骨髄単核細胞1×10^7個を左室腔内に注入,同容積の生食を投与する群も作成し,7日後に^<14>C-FLTを静注した後に心臓を摘出,短軸横断薄切片を作成してオートラジオグラフィおよび各種組織染色を行った。^<14>C-FLTの集積程度とKi-67陽性の増殖細胞数を比較し、両者に良好な相関関係がみられるか検討を行ったが,^<14>C-FLTが明らかに集積するものから有意な集積がみられないものまで個体間でばらつきが大きく、Ki-67陽性細胞数と^<14>C-FLTの集積程度の間には有意な相関がみられなかった。^<14>C-FLTが明らかに集積する領域には炎症細胞の浸潤が強く,^<14>C-FLTの集積が梗塞領域における炎症の強度,炎症細胞浸潤の程度に影響されている可能性が示唆された。 また,同様のモデルを用いて梗塞24時間後に移植した骨髄単核細胞の体内動態と心筋への生着を非侵襲的に評価するため骨髄単核細胞を^<99m>Tc-exametazime(HM-PAO)で標識し,体外からガンマカメラを用いてイメージングする研究を現在進めている。細胞移植を心筋梗塞,再灌流治療後何病日目に行えば最も効果的であるか,何病日目までなら治療効果が期待できるかなどを検討していく予定である。
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