研究概要 |
(1)ラット心筋梗塞モデルを用いて,骨髄単核細胞を放射性同位元素(RI)標識することによって移植された単核細胞が心臓へ生着する過程が画像化できるか検討を行った。移植細胞の心臓への生着をin-vivo imagingできれば,心筋再生治療の初期成功を非侵襲的に評価できる検査法となり,再灌流治療後の心筋梗塞症例に対する細胞移植至適施行時期などを検討することが可能となると考えられた。実験は,ラット冠動脈左前下行枝を60分虚血・再灌流するモデルを用い,^<99m>Tc-exametazime (HM-PAO)により標識した骨髄単核細胞を梗塞24時間後に移植して,体外からのガンマカメラ撮像で心臓への生着を画像化することを目指した。しかし,画像上,RI標識単核細胞の虚血再灌流心への明らかな集積はみられず,ウエルカウンターでの測定でも無処置の心臓への集積と有意差が認められなかった。原因として,骨髄単核細胞の^<99m>Tc標識率が予想以上に低かった(約10-20%)ために,もともと極めて少ない虚血再灌流心に生着する骨髄単核細胞を画像化することができなかった可能性が考えられた。 (2)移植した骨髄単核細胞が血管内皮細胞へ分化増殖する血管新生の過程をthymidine analogでthymidine同様DNA合成の基質となりDNA合成を反映する3'-deoxy-3'-fluorothymidine (FLT)の同位元素標識体で画像化することが可能か検討した。一側大腿動脈を切断してラット下肢虚血モデルを作成し,24時間後に^<14>C-FLTを静注して,4時間後に大腿部骨格筋を採取した。オートラジオグラフィと病理組織切片で^<14>C-FLTの集積程度とKi-67陽性の増殖細胞数を比較したが,Ki-67陽性細胞数と^<14>C-FLTの集積程度の間には有意な相関がみられなかった。心筋虚血・再灌流モデルと同様,^<14>C-FLTが明らかに集積する領域には炎症細胞の浸潤が強く,^<14>C-FLTの集積が梗塞領域における炎症の強度,炎症細胞浸潤の程度に影響されている可能性が示唆された。^<14>C-FLTで血管新生を画像化できるとの結論は得られなかった。
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